14  良質なイメージを得る方法

14.1   一般

良質な画像が得られるかどうかはいくつかの機能と設定によりますが、一部の機能や設定は他のものよりも画像に大きな影響を与えます。
これらの機能や設定で試してください。
  • 赤外線カメラ フォーカスを調整する。
  • 赤外線画像を調整する (自動または手動)。
  • 適切な温度範囲を選択する。
  • 適切なカラーパレットを選択する。
  • 測定パラメータを変更する。
  • 不均一性補正 (NUC) を実行する。
以下のセクションではこれらの機能と設定を操作する方法について説明します。
状況によっては、オーバーレイ グラフィックを隠して表示したい場合があります。

14.2  赤外線カメラ フォーカスを調整する

フォーカスを正確に調整することは非常に重要です。フォーカスの調整が不正確だと、画像モードの動作に影響を与えます。温度測定も影響を受けます。

14.2.1  手動フォーカス

フォーカス リングを手動で回してフォーカスを調整できます。詳細は、セクション 11.4 赤外線カメラ フォーカスを手動で調整する を参照してください。

14.2.2  オートフォーカス

オートフォーカス ボタンを押すと、赤外線カメラをフォーカスできます。詳細は、セクション 11.5 赤外線カメラのフォーカスを自動で合わせる (オートフォーカス) を参照してください。

14.2.3  連続オートフォーカス

連続オートフォーカスを実行するように赤外線カメラを設定することができます。詳細は、セクション 11.6 連続オートフォーカス を参照してください。

14.3  赤外線画像を調整する

14.3.1   一般

赤外線画像は自動または手動で調整できます。
自動モードでは、最高の画像が得られるようにカメラがレベルとスパンを連続的に調整します。画像の熱情報に応じて、カラーが配分されます (ヒストグラム カラー配分)。画面の右にある温度スケールが、現在のスパンの上限温度と下限温度を示します。
手動モードでは、画像内の特定の対象物の温度に近い値に温度スケールを調整することができます。これにより、画像内の特定部分の異常やわずかな温度差を検知できます。手動モードでは、カラーは最低温度から最高温度まで均等に配分されます (線形カラー配分)。
手動モードで、画面をタッチするか、ナビゲーション パッドを使用して画像を調整できます。詳細は、セクション 14.3.2 画面のタッチによる手動調整 および 14.3.3 ナビゲーション パッドを使用した手動調整 を参照してください。
  • ライブ モードで、icon (温度スケール)、icon (自動) または icon (手動) を選択して、画像調整モードの自動と手動を切り替えます。
  • プレビュー/編集モードでは、画像手動調整モードがアクティブになっています。

14.3.1.1  例 1

ある建物の 2 つの赤外線画像が示されています。左の画像は自動調整されており、晴れた空と暖められた建物の間の大きな温度スパンにより正しく分析することが難しくなっています。温度スケールを建物の温度に近い値に変更すれば、より詳細に分析できるようになります。
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自動
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手動

14.3.1.2  例 2

送電線の遮断機の 2 つの赤外線画像が示されています。遮断機の温度変化を分析しやすくするために、右の画像の温度スケールは遮断機の温度に近い値に変更されています。
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自動
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手動

14.3.2  画面のタッチによる手動調整

14.3.2.1   一般

設定から、画像を手動で調整するためのタッチ機能を有効/無効にすることができます。そのためには、icon (設定) > [デバイス設定] > [ユーザー インターフェース オプション] > [タッチを使用した手動調整] > [オン/オフ] を選択します。
画像手動調整モードが有効な場合、温度スケールの右に調整ホイールが表示されます (タッチ機能による画像手動調整が有効な場合)。
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図 14.1  手動調整モードが有効

14.3.2.2   手順

次の手順に従います。

14.3.2.3  手動モードでの画像の自動調整

画像手動調整モードで、画面をタッチして画像を自動調整できます。画像は、タッチされたポイントの周辺領域の熱情報に基づいて自動調整されます。温度スケールの上位/下位レベルは、その領域の最高温度と最低温度に設定されます。関連する温度の色情報を使用して、対象領域の詳細を取得できます。
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14.3.2.4  タッチ スクリーンをロックする

対象エリアを調査できる水準まで画像を調整したら、タッチ スクリーンをロックして、誤ってそれ以上調整されるのを防ぐことができます。
画面をロックするには、温度スケールの左にある icon アイコンにタッチします。
画面のロックを解除するには、温度スケールの左にある icon アイコンにタッチします。

14.3.3  ナビゲーション パッドを使用した手動調整

14.3.3.1  手動調整モード

手動調整モードには次の 2 種類の設定があります (ナビゲーション パッドの場合のみ該当)。
  • [レベル、スパン]: ナビゲーション パッドを使用してレベルとスパンを手動で調整できます。
  • [レベル、最大、最小]: ナビゲーション パッドを使用してレベルを手動で調整できます。また、上限温度と下限温度を個別に変更できます。
icon (設定) > [デバイス設定] > [ユーザー インターフェース オプション] > [手動調整モード] で画像手動調整モードのタイプを選択します。

14.3.4  レベル、スパン モードでの手動調整

次の手順に従います。

14.3.5  レベル、最大、最小 モードの手動調整

次の手順に従います。

14.4  カメラの温度範囲を変更する

14.4.1   一般

カメラは異なる温度範囲に対してキャリブレーションされています。使用可能な温度範囲オプションはカメラ モデルに応じて異なります。
正確な温度測定を行うには、[カメラ温度レンジ] の設定を変更して検査対象物の予想温度に合わせる必要があります。

14.4.2   手順

次の手順に従います。

14.5  色パレットの変更

14.5.1   一般

カメラが異なる温度表示するのに使用するカラー パレットを変更することができます。異なるパレットを使用することによって、画像の分析が容易になります。
この表では、さまざまなカラーパレットについて説明します。
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アイアン
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アークティック
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レインボー
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レインボー高コントラスト
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ホワイト ホット
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ブラック ホット
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ラバ
 

14.5.2   手順

次の手順に従います。

14.6  測定パラメータの変更

正確な測定には、測定パラメータの設定が重要です。
  • 外部 IR 窓補正
  • 対象距離
  • 大気温度
  • 相対湿度
  • 反射温度
  • 放射率
測定パラメータはグローバルに設定できます。また、測定ツールの [放射率]、[反射温度]、[対象距離] の各パラメータをローカルに変更することもできます。
詳細については、セクション 16.5 測定パラメータの変更 を参照してください。

14.7  不均一性補正 (NUC) を実行する

14.7.1   一般

赤外線カメラに [キャリブレーション中...] と表示されている場合は、「不均一性補正」(NUC) と呼ばれる処理が実行されています。NUC とは「検出素子の感度の変動などの光学的および幾何学的な障害を補正するためにカメラのソフトウェアによって行われる画像の補正 10 です。詳細については、セクション 34 キャリブレーションについて を参照してください。
NUC は、例えば起動時や、測定範囲を変更した場合、または環境温度が変化した場合に自動で実行されます。
また、NUC を手動で実行することもできます。この機能は、画像の障害をできるだけ抑えたい重要な測定を行う場合に便利です。例えば、ビデオ シーケンスの記録の開始前に手動でキャリブレーションを実行すると良いでしょう。

14.7.2  NUC の手動実行

14.7.2.1   手順

次の手順に従います。

14.8  すべてのオーバーレイを非表示にする

14.8.1   一般

カメラのオーバーレイは、オーバーレイ グラフィックと画像オーバーレイ情報で構成されます。オーバーレイ グラフィックには、測定ツールのシンボル、結果テーブル、ステータス アイコンなどの項目が含まれます。[設定] メニューで有効にする画像オーバーレイ情報には、日付、放射率、大気温度などの追加情報が表示されます。詳細については、セクション 9.5 画像オーバーレイ情報 を参照してください。
プログラム ボタン icon を押して、すべてのカメラのオーバーレイを非表示にできます。
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カメラのオーバーレイと画像オーバーレイ情報を含む画像。
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すべてのオーバーレイを非表示にした画像。

14.8.2   手順

次の手順に従います。